フクロモモンガの乳がん

カルテ
08 /02 2015
毎日うだるような暑さですがいかがお過ごしでしょうか。
暑さなどの肉体的ストレスから、体調を崩す動物が増えています。
どうぞ、温度管理には十分気を付けてください。


今日は普通に病気の紹介。
最近の小動物業界での人気者は何と言っても
フクロモモンガ。モモンガと言っても、げっ歯類ではなく、
かの、コアラやウォンバットと同じ有袋類。

一般的に飼育されはじめて数年が経ちましたが、
歳を取ってくると、出てくるのが腫瘍、いわゆるガンです。

お腹にシコリを見つけた、ということで来院しました。
触診をすると確かにお腹に大きなしこりがありました。
今までの経験から、何らかの腫瘍であると診断しました。
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そこで、飼い主さんと相談して、摘出手術をすることになりました。
麻酔をかけてよく見るとこんな感じのおっきなしこり。
よく観察すると、フクロモモンガのお腹にある袋の中から発生していることに気づきました。
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袋の裏側を含め、慎重に切除しました。
そう、有袋類は、袋の中に、乳頭があり、そこで赤ちゃんを育てるのです。
したがって、袋の中に発生した腫瘍は、人間でもワンちゃんでもよくみられる、
乳がんだったのです。
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フクロモモンガの腫瘍はまだまだ報告が少なく、(やる獣医さんも少ない)
今回調べたところ、アメリカで1例、外科的に摘出した報告があるだけでした。

しかし、飼育頭数の増加、長寿によりこれからはもっと増えていくかもしれません。
フクロモモの雌を飼われている方は注意が必要ですね。


人気動物と病気の傾向!?

カルテ
04 /11 2015
仕事柄、「最近人気の動物は何ですか?」とよく聞かれます。

犬猫はもちろんですが、ここ数年、ウサギの人気はすさまじく、
来院件数も、ずっと増えてきています。

そして、最近、注目されているペットは何と言ってもハリネズミです。
ハリネズミもいくつか種類があるのですが、アフリカ原産の
ヨツユビハリネズミという種類が世界的(中国、アメリカ、EUなど)に人気です(ホントです)。
アフリカ原産ですが、現在は、タイや台湾で繁殖されたものが輸入されてきています。


犬猫よりも、小動物のウサギやハリネズミは、病気で言うと
生殖器系の病気が非常に多いです。
1か月のうち、手術の半数がなんらかのメスの病気の手術をしています。

今回はハリネズミ。
元気食欲はあるけど、お腹が膨れてきたとのこと。
どれどれ、と見てみると、確かに膨れていました。
こんな感じに。
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動物は不思議で、こんな状態でも元気だったりします。
ハリネズミは針に囲まれていたり、いつも丸まったりしているので、
発見がどうしても遅くなりがちです。

手術で摘出した腫瘍はこちら。
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自分の体の半分ほどもある大きな子宮の腫瘍の1種でした。
これらの動物のメスを飼われている方は、注意が必要です。
症状が出にくいので、出たときには、結構進行していることが多いです。
ウサギであれば、最近は予防目的での避妊手術をされる方も増えています。

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子のは、その後はすっきりした様子で、
数日後には、驚異的か回復力で元気になって退院しました!
この仕事をやっていて良かったと思える瞬間です。

ちゃんとしたペットです!

カルテ
03 /10 2015
メーリさんのひつじ、ひつじ~♪

今年は未年ではありませんが、
今日のブログはヒツジです!
このヒツジさん、名前は、残念ながら?メリーさんではなく、
ピースケと言います。

実は、このピースケ、以前に骨折(中手骨)をしたことがあり、
長い時間、すごく苦労して治したことがありました。

そして、2年後、ピースケは大きくなって再来院したのでした。
飼い主さんによると、「また、骨折したみたい」と。
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レントゲンを撮ってみると、今度は以前折れて治った、
その上の骨(橈尺骨)ということがわかりました。
しかも、以前に増して、バリバリに砕けていました。
私の頭には、ハンマーが落ちました。(ガーン!の意味)
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何が大変って、動物も大きいし、言うこと聞かないし、
入院室は牧場みたいになるし。

手術の時も、1つの手術台にのりきれず、診察台を並べて行いました。
麻酔も、一苦労。犬猫の常識が全く通じないのです。
こんなことは、大蛇の開腹手術以来です。
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で、夜オペとなり、
他の動物と違って出血量も多く、
3時間半かけて、長さ10センチの金属プレートと
3センチのボルト7本を埋め込み、無事終了しました。
ヘロヘロになる2度とやりたくない系手術でした。


そして、先日、無事退院しましたとさ♪
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追伸:1か月後のレントゲン。なんとかうまくつくといいな、と願ってます。
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診断回路

カルテ
09 /15 2014
某月某日

真っ白で、気は優しくて力持ち、ピレネー犬がやって来ました。
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なんでも、コンビニで買い物するために、外につないでおいて、
数分後に出てきたら、腰のあたりから出血していることに気付いたそう。
慌てて病院にやって来ました。

診察をしたところ、確かに、白い綺麗な被毛に、血らしきものがベットリ着いています。
毛を刈ってみると皮膚に不自然に2つ均等に並んだ穴が開いていました。
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飼い主さんは、毎日手入れをして、それまで全くそのような傷が無かったので、
買い物をしている間に、何者かによって、
鋭いもので傷つけられたのではないかと疑って仕方ありません。

私はその血液状のものと2つに並んだ傷をよく観察しました。
すると血のように見えた赤い液体は、完全な血液ではなく、
血液と滲出液(しんしゅつえき:炎症があるときに出る体液)であることが分りました。

また、細い綿棒で傷口の穴の中を探ってみました。
すると、隣り合う穴は双方、皮下でつながっていました。
綿棒に付いた滲出液をスライドガラスにこすり付け、
染色し、顕微鏡でのぞいてみました。
そうすると、白血球の一種、好中球と細菌がたくさん見られました。

私は、それを見て、
「飼い主さん、絶対とは言えませんが、何者かによる刺し傷ではなく、
おそらく皮下に炎症がちょっと前から起こっていて、
それが、破裂したものですよ。

だから、こんなにたくさんの血液の様な滲出液も出ているのですよ。
犬の場合、皮膚はルーズですし、血管が少ないので、
刺し傷だけではこんなに出血することは稀です。

滲出液は、炎症の時に出る体液で、
その中に好中球や細菌がたくさん出ていますので、
少し前から表からは分らない状態の炎症が皮下で進んでいたのでしょう。」

飼い主さん、はじめは解せない顔をしていましたが、
繰り返し説明をすると、「おそらくそうであろうという状況」を納得してくれました。
抗生剤と消炎剤を数日飲ませたところ、すぐに良くなりました。

獣医師が病気を診断する場合、
1)その異常な状態(起きている症状)において、何が考えられるか、
客観的に病気のリストを頭の中で羅列します。可能性の高いものから、稀なものまで。

2)その病気リストに対して、問診や発生状況(慢性と急性とか単発とか多発とか…)、
動物の種類、年齢、病歴、様々な検査結果などを加味、根拠をもって、
そのリストに含まれる多数ある疾病をひとつひとつ消去法で潰して行きます。

3)残ったものが、その病気である、と診断します。
  (根拠をもって消去しきれない場合、「可能性がある」という暫定的な診断、仮診断になります。)

この一連の作業を「類症鑑別と除外診断」と言います。

この方法が動物の診断方法です。
除外診断なくして、動物の診断は出来ない、とまで言われています。
決して、見た目と経験との直感で診断するものではありません。

そんなことをすれば、診る人の経験と気分によって大きな相違が出てきてしまうからです。
もちろん経験も重要ですが、より重要なのは、客観的な視点で問題を見つめ、
鑑別リストをたくさん挙げ、「根拠」をもって消去していくことなのです。



獣医さんは動物を一瞥して、経験でなんでもすぐに病気かどうか、
写真や電話だけで判るハズ、
と思ってしまうかもしれませんが、
「言葉を話さない動物」であるが故、より慎重に、
そのようなプロセスを踏んで診断を行います。

そう考えると、警察が犯人の供述全く無しに、
残された証拠や現場検証で、
事件を解決していく作業に似ていますね。

寝顔♪

カルテ
09 /12 2014
夏も猛暑もつい最近まであったのが
まるでウソのようなこの数日ですね。

そんな過ごしやすい気候も手伝って、当院でお預りさせて頂いている
ネコちゃんたちも、すっかり、気持ちよくスヤスヤお眠りの様子。

「うちの子、家から離れたことないので、お泊り(入院)心配!」
とおっしゃる方、沢山いらっしゃいますが、
大多数の子たちは、こんな風にリラックスしているのですよ。

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「気持ちがいいにゃぁ~♪」


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「力尽きました・・・」


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「めんぼくない・・・」


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「実はこのカッコが落ちつくにゃん」


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「もう、爆睡にゃのです」

田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。

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