くまちゃん

カルテ
12 /20 2015
『くまちゃん』というと、作家 角田光代 の小説をふと思い出しますが、
今回はミックス犬のお話です。

くまちゃんは、小さなときから当院に通っていました。
ほとんど病気らしい病気もしたことがなく、
ペットホテルと予防でこられるくらいの元気なワンちゃんでした。

あるとき、触診をした時、くまちゃんのお腹の中に
なにか触った気がしました。
エコー検査をすると、そこには巨大な出来物の影が映し出されました。

そこで、私はその事情をお話し、悩まれた末、飼い主さんは手術を選びました。
しかし、肝臓が腫瘍化し、場所によっては摘出不可能になるとも説明しました。

で、手術。
開けてみると・・・・
kumachan1.jpg
視野全体に、それはそれは醜いガンの塊が広がっていました。
肝臓でした。一瞬にして絶望的な気持ちになりました。

そうは言っても、すぐに諦めるわけにもいきません。
先ずは、相手の全容を見なければなりません。表に全て出すことが出来ないので、
腹腔に手を入れて、手の感覚で腫瘍の形をイメージをしていきます。


進めるかどうか、逡巡しました。
10分ほど腫瘍を撫でまわましていると、
弱点が見えてきました。
深部で切開可能らしいラインが見えてきました。
手を動かし、進めることにしました。
しかし、肝臓ガン、大出血するリスクがあるので慎重に進めました。

仔犬のときから見ているくまちゃんを自分の手で、もしかして殺してしまうかと思うと、
情けないことに心臓は聞こえるくらいにバクバクし、ワナワナと手に震がきました。
こんなこと、記憶にない位です。
それくらい、緊張していたんだと思います。

kumachan2.jpg
しかし、出血もそれなりにありましたが、格闘の末、
無事、巨大なガンは肝臓の一部を切り取ることで、無事、摘出できました。

kumachan3.jpg
そしてくまちゃんは、なんとか回復しお家に帰ることができました。

そして今日、さらに元気になって、再診のために来院しました。
私にとってのクリスマスプレゼントでした!



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田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。

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