白蛇の腎臓腫瘍

カルテ
08 /14 2015
某月某日

飼い主さん「せんせ、うちのヘビ、一部が膨れて、ウンチも出ず、食欲もありません」

わたし「どれどれ」

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「おっと、白蛇君だね。白蛇は縁起がいいっていいますね♪」

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「ここですね、確かにぽこっと膨れていますね。これが邪魔をして、腸を圧迫しているかもしれませんね。
 真の原因はわかりませんが、そのままだと、きっと死んでしまうと思います。外科的な対応も考えますか?」

飼い主さん「そうですね、ずっと飼ってますし、このまま見殺しにするくらいなら、
        やれることをやってもらいたいのですが。」

わたし「わかりました。ただ、私の少ない経験から、この部位に出来た腫瘍の摘出は
     分が悪いです。大体7割くらいの子が術後に死んでしまうことが多いです。」

飼い主さん「リスクはわかりました。宜しくお願いします。」

というわけで、確率は普通の手術と比べてかなり低いですが、腹を決めて実施することにしました。

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静脈から麻酔薬を注入し、気管にチューブを入れ、
人工呼吸器をセットして手術しました。

腫瘍は、腎臓の一部に癒着しているような形で、
術中、出血もしましたが、なんとか摘出できました。

しかし、術後の麻酔の醒めがとても悪く、
とても心配しましたが、数日かけて、
だんだんと回復してきて(通常、犬猫だと数時間のところ)、
なんとか無事退院までこぎつけました。

大学の病理学研究室に腫瘍を送付し、
腎臓の腫瘍ということがわかりました。
しかし、症例数がきわめて少なく、
病態が不明でさらなる検索を続けているそうです。

いずれにしても、ヘビなんて、と思わず、
ちゃんと愛情をもって病院へ連れてきていただき、
英断をされた飼い主さんのおかげで、いまはウンチも出て食欲も戻ったそうです。
よかったです。ほんとに。(こういうケースを奇跡と呼ぶのだと思います、私的に)


というわけで、
「お盆休みは、どうですか?」というお問い合わせを連日たくさん受けておりますが、
お盆休みもなく、夏バテもなく通常通り診療しております。
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フクロモモンガの乳がん

カルテ
08 /02 2015
毎日うだるような暑さですがいかがお過ごしでしょうか。
暑さなどの肉体的ストレスから、体調を崩す動物が増えています。
どうぞ、温度管理には十分気を付けてください。


今日は普通に病気の紹介。
最近の小動物業界での人気者は何と言っても
フクロモモンガ。モモンガと言っても、げっ歯類ではなく、
かの、コアラやウォンバットと同じ有袋類。

一般的に飼育されはじめて数年が経ちましたが、
歳を取ってくると、出てくるのが腫瘍、いわゆるガンです。

お腹にシコリを見つけた、ということで来院しました。
触診をすると確かにお腹に大きなしこりがありました。
今までの経験から、何らかの腫瘍であると診断しました。
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そこで、飼い主さんと相談して、摘出手術をすることになりました。
麻酔をかけてよく見るとこんな感じのおっきなしこり。
よく観察すると、フクロモモンガのお腹にある袋の中から発生していることに気づきました。
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袋の裏側を含め、慎重に切除しました。
そう、有袋類は、袋の中に、乳頭があり、そこで赤ちゃんを育てるのです。
したがって、袋の中に発生した腫瘍は、人間でもワンちゃんでもよくみられる、
乳がんだったのです。
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フクロモモンガの腫瘍はまだまだ報告が少なく、(やる獣医さんも少ない)
今回調べたところ、アメリカで1例、外科的に摘出した報告があるだけでした。

しかし、飼育頭数の増加、長寿によりこれからはもっと増えていくかもしれません。
フクロモモの雌を飼われている方は注意が必要ですね。


田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。

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