ご報告

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12 /11 2013
このブログは、楽しいことやよかったことを基本的な柱として、
また、動物病院のブログでもあるので、
これから書こうとする極めて個人的でマイナスな感情の内容をUPすることをとても迷っていました。
しかし、私個人の気持ちの記録をしておくためのブログでもあると思い、
報告することにしました。


唐突ですが、私の父が先月亡くなりました。
脳梗塞という脳の血管が詰まってしまう病気でした。

4月に体調を崩しました。
すぐに愛知県の病院に見舞に行った際には、
まだ、自分でも動けていましたし、会話も不自由ながらしていました。
見舞は動物病院の休診日を利用したの日帰りでした。
面会時、体調のことだけ話し、5分程度で父は
「仕事は大丈夫か、父さんは大丈夫だ、早く帰って仕事しろ」と言い
私が「わかったよ、帰るよ、じゃ行くよ」と男同士にありがちな、ぶっきらぼうな、
でも、お互いそれでよし、といったあっさりとした見舞でした。


しかし、それが父との最後の会話になるとはその時は思ってもみませんでした。
5月下旬に重篤な病態となり、それきり会話、食事、歩行もできず寝たきりが続きました。

それ以来、私は、実家から電話がかかってこないかいつも不安でした。
万が一のことがあったら、私は押しつぶされはしないかと。
電話がかかってきたときは覚悟をしなければならないと。

そして、「今日は大丈夫かな?元気しているかな?」
といつにもなく強く感じた11月のある日の朝、
虫の知らせだったかもしれません。危篤の知らせを受けました。
急いで帰省の準備をして、
約30分後に、確認の電話をしたところ、すでに亡くなったと知らされました。


父親は自営で大工をしており、職人気質が強く頑固一徹で、
休みも不定期で、また、いつも作業着姿でしたので、
子供の時は、会社員で背広を着る紳士的な友達のお父さんの姿と比べてみては、
それをとてもコンプレックスに感じていました。
しかし、思春期を過ぎたころから、そのコンプレックスが、逆に
自分の誇りとなり、仕事は自分で自分の道を歩む強さをもつものだと
自然と教わったのだと思っています。

東京で開業するとき、父は私に
「男が仕事をするときは、親の死に目に会えない覚悟でするんだぞ」
ということをしきりに言っていました。
そして、それが現実となり、最期を看取ることはできませんでした。
しかし、弱みを見せるのが苦手な父はそれがきっと本望だっただろうし、
私もそのつもりで10年間走ってきたので、
私は看取れなかった後悔にさいなまれることもなく、
いまとなってみれば、あの言葉は父流の思いやりだったのかもしれません。


私は、当たり前ですが、こういう仕事をしているので、
生物学、医学的な知識を持っています。
それが、人間であっても、もっとも近い関係である父であっても、
幸か不幸か、薄情なのか、
担当医師から説明していただく父の病状をとても冷静に理解できました。
そしてそれが、どんなに積極的な治療や高度医療を施したとしても、
それから回復する見込みは極めて低いことも早い段階で判っていました。

亡くなったとの知らせを受けたときは、
大きな悲しみよりは、ようやく病から解放されたんだ、
という安堵の気持ちが優先的でした。
そして、その悲しみは、地中の水道管が破裂して、
多量の水が突然地表に湧いてくるような
深い悲しみとなって、後から不用意にやってきました。

命あるものは、遅いか早いの違いこそあれ、必ず死に至ります。
当たり前ですが、過去に天文学的数字以上のの命が誕生していますが、
1人1匹たりとも死を迎えない命は存在していません。


獣医師は、命を助けることばかりがクローズUPされやすい職業ですが、
その一方で、病気や死というものをとても身近に見ています。
言い換えれば、毎日、病気の動物を診て、死んでいく動物を看取る、
そして悲しみに暮れる飼い主さんとお話をする職業でもあります。
それゆえ日々命の儚さや無常を感じており、
毎日悔いの無いように生きたいと思っていましたが、
父の死を通じて、さらにその思いが強くなりました。


本年も残すところわずかとなりました。
皆さま、動物たちもお元気にお過ごしのことと存じます。
以上より、毎年更新していました年末年始のご挨拶を控えさせていただきます。
しかし、また、来年からは以前と変らず(もうすこし多く?)UPしていこうと思いますので、
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

田向健一

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愛知県の実家の裏に広がる畑。私の子供の頃の遊び場。










田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。