生命力♪

カルテ
10 /29 2013
雨の降りしきるある日、
1匹の仔猫が濡れ雑巾のような姿でいたそうです。
それを見つけた方が、その仔猫を保護したのだけれど、
どうにもおかしいということで連れてこられました。

何でも、ミルクは少ししか飲まず、
飲むとすぐに息苦しくなり、
ハアハアと大きな息をするようになるとのことでした。

レントゲン検査をしたところ、
肺の部分が真っ白になっていました。
通常、レントゲンで肺の部分が白く見えるというのは肺炎と相場が決まっているのですが、
今回はどうやらそうではなさそう。
肺の領域に、見えないはずのループ状のガスが見えます。

哺乳類は、心臓や肺がある胸部と胃や肝臓、膀胱んなどを収める腹部があり、
その間には、横隔膜という薄い膜が両者を隔てています。

どうやら、この仔猫は、その横隔膜が何らかの理由で(先天的もしくは事故など)、
破れており、通常は陰圧になっている胸部に腹部の臓器が引き込まれている
「横隔膜ヘルニア」という病態になっていることが分かりました。
この横隔膜ヘルニアを治療するには、その破れた膜を縫い合わせることが必要になります。

しかし、この手術は、場合によっては、呼吸停止などの重篤な合併症を
引き起すことが知られています。しかも相手はわずか400グラムたらず。

しかし、現状をみるとこの膜を閉じなければ、長生きが難しそうに思えました。
そこで、拾われた方にその状況を説明したところ、可能性にかけて手術を依頼されました。

hernia1.jpg
全身麻酔をかけ、心電図や人工呼吸装置をつなぎ、毛刈りをして手術準備をします。
(寝ているので本人は気づいてはいませんが)見ようによっては、
可哀そうに見えるかもしれません。
しかし、こういうことを行っているのも
町の動物病院の実態の一つです。

hernia2.jpg
まったくわからないと思いますが、この子猫は、腸のほとんどと肝臓の半分が
胸部に入り込んでいました。小さいのでなかなかそれら臓器を引き出すことが大きな手では
難しい操作となりました。


そんなこんなで、悪戦苦闘、術後の管理も慎重に行いながらも、
明らかに術前よりは元気になり、たくさんのミルクも飲めるようになり
呼吸状態も改善し、1週間後に無事退院しました。






そして、その2週間後に抜糸に来院した時には、
hernia3.jpg
体重も一気に倍以上になり、ふつうの仔猫となんら変わらない姿を見せてくれました。

生命力の強さを実感する瞬間でした!

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日帰り冒険!

未分類
10 /19 2013
前回UPさせていただいた沢ですが、
リフレッシュ目的で行ったのですが、
その一方でトレーニングを兼ねていたのでした。

そのトレーニングの目的は、
ある山に向けてでした。

その山とは、これからご紹介する谷川岳です。
谷川岳は、群馬県と新潟県にまたがる
2000mほどの美しい山で、学生時代より何度も訪れています。

で、今回はそこにある衝立岩という岩壁
をロッククライミングで登るという冒険を行ってきました。
tanigawa1.jpg
朝6時ごろ出発です。
一ノ倉沢という沢をさかのぼっていくと、いくつか滝があり、
それを登ったり迂回したりしていくと、
正面に三角形の特徴的な岩壁が見えてきます。
あれが衝立岩で、岩の基部から高さは300m程あります。

tanigawa2.jpg
上部はすでに紅葉が始まっていました。

tanigawa3.jpg
だんだんと、目的の岩壁が迫ってきます(写真右)。
ちょっと緊張してきましたが、ふと目を左にそらすと谷の間には、
長年ずっと溶けずに残っている雪渓がありました。


tanigawa6.jpg
それにしても、暑い夏を溶けずに残っている雪になんだか感激です。

そしていよいよ登攀!
ハーネス(安全ベルト)に文字通り命綱をつけていざ
クライミング開始。
すみません、登っている最中の写真はなかなか撮れず、
とりあえず1枚のみ…。
tanigawa4.jpg
足元は、先ほどまで登ってきたルートまで
切れ落ちており、岩壁の中にいることを実感。

数時間後、無事、三角岩の上まで上り詰め無事登頂成功!
(頂上に着いた時には濃霧がひどく写真撮れず)

雨も降り出したため昼食を10分ですまし、
来た壁をこれまた数時間かけて降ります。
降りるときは、ロープを使って、消防隊みたいに降りるので
体力はいりませんが、ロープ操作に命がかかっているので岩壁にいるあいだは
ずっと緊張しています。

時間が経ち日も沈み、
雨風の中、ヘッドライトを付けての下山になりました。

そして、登り始めて14時間後、もといた場所に無事戻りました。

こうして、なかなかハードな1日冒険旅行は終了しました。
生きていると、いろいろな壁や困難に出くわしますが、
自然の中に身を置いて、そこで自身を確認することは、
都会ではなかなか実感できませんので、時々こういう作業も必要なようです。
しかし、翌日は筋肉痛に見舞われたのはいうまでもありません。













日帰り探検♪

未分類
10 /05 2013
先月の終わり、休診日を利用して、
ちょっとした探検に出かけました。
都内から、車を2時間弱走らせたところに
人を寄せ付けないこんな秘境があります。

oku1.jpg
朝6時、朝日が木漏れ日となって射し込みます。
同じような現象でレンブラント光線という現象があります。
雲の切れ間から、光が漏れだす様を画家レンブラントが
好んで描いたことからそう言われています。
幻想的な瞬間でした。


oku2.jpg
がんばって沢を詰めていくと、
30メートルほどの滝がありました。
誰の目にも晒されず、ひっそりと滝の音を奏でておりました。


oku3.jpg
滝を登り、岩を攀じり、さらに上流部になると、水量も少なくなっていきます。
足を踏み入れるのも憚られるような、
長い年月をかけて丹念に織り込んだ緑の絨毯が待っておりました。


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へとへとになりながらも、沢を登り詰め、
稜線に出て、ふと腰かけると、植物なのか菌類なのか
分別が着かない妖精が頭を下げて挨拶をしてくれました。

(※後で調べたところ、ギンリョウソウ(銀竜草)、
  別名ユウレイタケという葉緑素を欠く腐生植物の1種だそうです。
  腐生植物とは、菌類から栄養を得ている植物のことです。)


oku4.jpg
尾根ずたいに下ってくると、時間はお昼過ぎになりました。
お腹も空いてきました。そんなおり、朽木になにやら、目玉焼きのような、
甘食パンのようなキノコ。食べられるのでしょうか?
(※調べましたが、結局、なんというキノコか分かりませんでした。
  ご存知の方がいらしたら教えてください)

そんなこんなで、私の日帰り探検はケガもなく無事に終了しました。
自然のことを知っているつもりでも、こんな身近にまだまだ
誰も目にしないような風景や知らない動植物があります。
そんな未知に出会うとわくわくドキドキいつまでたっても楽しいものです。









田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。

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