聴診器の秘密!

モノ
03 /31 2010
昨日はデジタル化のお話をしたので、
今日はアナログのネタでもひとつ。

お医者さんといえば、白衣と聴診器。
誰もが知っている聴診器ですが、
意外と正しく語られることが少ない可哀そうな診断器具です。

200年の歴史を持つ聴診器ですが、
その構造はとても簡単でその形態は
昔からほとんど変わってないと思われます。

簡単にいえば糸電話のようなもの。
身体に当てて音を拾う部分にはプラスチック製の薄い膜が
貼ってあり、そこで振動を受けて、
その振動がゴムのチューブを伝って、
聞く側の鼓膜へ音が届きます。

よくコメディーや漫画で
患者さんが聴診器を掴んででそこに大声をかけ、
お医者さんをびっくりさせる、
ということが行われていると思いますが、
実はあれ、まったく意味のないことなのです。

tyousinki.jpg

聴診器にいくら大声をかけても、
何も聞こえません。
では、どうすればよいかといいますと、
聴診器の裏側の膜を指でトントンと軽くつつくだけで、
聞いている医者の耳は裂けそうなくらいになります。

ですから、お医者さんに嫌なことをされたら、
さりげなく聴診器の裏をトントン(笑)

しかし、よい子は決してマネをしないでくださいね。
決して私にだけは・・・・・。


デジタル症候群↓

動物
03 /30 2010
私は常々、野生児であることを主張してきましたが、
野生児ではないかもしれないと悟った今日。

今日の出来事。
パソコンの調子がなんとなく悪いので、
念のため、すべてのデータをバックアップとりました。
2時間もかけて。

その後、メールを仕事先に送ろうとおもったら、
まったく送れない。受信はできるのに。
もう、オロオロするばかり。

ジャングルでも逞しく生きていく自信があるのにもかかわらず、
たった1通のメールが送れないだけで、右往左往。不自由感満点。
これってほんとにデジタル症候群。

自身が気づかぬ間に、デジタル社会にしか生きておらず、
それを失ったら何もできなくなっている自分に愕然。
ハタ、オソロシイ・・・・。

医療現場も今や電子カルテ、デジタルレントゲン超音波ドップラーにCT、MRI。
気づけば周りはすべてデジタル化。
昔は聴診器と触診で診断していたというのに。
人間も病気も昔と同じハズなのに・・・・。

ika.jpg
コブシメ。イカさんの仲間。
体表には無数の色素胞があり、それを自らの意思で自在に変化させて、
周りの景色に合わせて瞬時に色を変えることが出来る。
まるで皆様がこの画像を見ていると同じ液晶画面のよう。
快適生活って何ですかね・・・。


隠し玉!

カルテ
03 /27 2010
注)以下、上品と自負する方は決してご覧にならないでください。

ある日。とても上品なマダムがミニチュアダックスを連れてきました。

マダム:「センセ、うちの子、去勢手術を受けさせたいざます」

私:「はい、了解です。私、こう見えても去勢手術は得意ですよ」

マダム:「それはよかったざます。お願いできますざますか?」

私:「その前に、この子のタマタマ確認させてください」
  
   触診中

  「・・・・・・・あれ、一個しかないですよ」
tama1.jpg
私:「ほらね。」

マダム:「えっ・・・・。」
    「なんでなそうなのかしら、うちの子に限って。
     たまたまそういう子だったのかしら」

私:「えっ、もしかして、それ、おやじギャクですか?」

マダム:赤面・・・・。

とのやり取りが実際あったかどうかは定かではありませんが。

いずれにしても、最近よく遭遇する片タマ。
停留睾丸、潜在精巣と言ったりもします。
お腹の中にあるタマが成長とともに外の袋に収まるべきなのですが、
そのままお腹に残ってしまうのです。
原因は遺伝です。

タマはぶら下がって常時冷やしておかなければならないのですが、
お腹の中に留まったまま高齢になると、高い確率でガン化します。
そしてホルモン性の再生不良性貧血を起こし、場合によっては死にます。
ですので、片タマの場合、若いころにお腹から摘出する必要があります。

お腹の中のどこかにあるには違いないのですが、
どこにあるのかは、開けてみてからのお楽しみの埋蔵金探し。

いえ、実際には膀胱に裏側にある精菅を目印に手繰っていけば、
その先にタマはついています。
tama2.jpg
お腹の中から取り出したタマの相方。
これで将来のガンの不安からは解消されます。








ターザン♪

未分類
03 /23 2010
本業は診療なのですが、
ここんところ学会やら締め切りやらでバタバタする毎日。
なかなか野外に出れず(涙),ブログのネタにも乏しく(汗)
鬱屈としています。

幼稚園の頃から木登りや生き物を捕まえて遊んでいました。
子供の頃、裏山で遊んでいたものが、
大人になったらちょっと贅沢にジャングル。
生物多様性の源、ジャングルでは、いつになく元気になります。

マレーシアのジャングル。
大きなツルを見つけてターザンごっこ。
tarzan.jpg
あ~ああ~~~~~~~♪
とでも叫んでいるのでしょうか。
この数年誰にも見せていないような素敵な笑顔ですね(苦笑)。
野外に出ているときがどんな時よりも
もっとも自分らしく無邪気な姿を出せるのでしょう。

【ターザン】
アメリカの小説家エドガー・バローズが創造した冒険小説
イギリスの貴族の息子が幼少期にアフリカのジャングルで置き去りにされ、
メスの類人猿に拾われて育てられる。
後に筋骨隆々の半裸の超人的な肉体をもつ戦士になり、
ナイフ1本でライオンさえ倒す。
その一方で野性と文明社会のそれぞれに惹かれつつも、
そのどちらにも馴染みきれないという二律背反の精神的側面を持っている。




動物は変われど・・・・。

カルテ
03 /20 2010
「貧血」という言葉を聞いたとき、
どんな印象を受けますか?

おそらく大勢の方が、小学校の朝礼で倒れてしまう
あれを思い出すかもしれません。
「貧血で倒れる」
しかし、医学的な意味でいう「貧血」は結構深刻です。

「朝礼のあれ」は、やさしい保健の先生と
保健室の消毒された真っ白なベットで横になれば、
授業を1時間休む程度で回復しますが、
医学的な貧血はなかなかどうして、
簡単には復活しません。

貧血には大きく「血液が作られない貧血」と
「出血による貧血」の2つ別けられます。
どちらも大変です。

一時しのぎにしろ、
有効な治療を行うための時間稼ぎに
「輸血」を行うこともしばしばです。
動物種を問わず・・・・・。

lizardyuketu.jpg
130グラムのフトアゴヒゲトカゲ。
ドナーは私の飼育するトカゲで2ccの献血を行いました。
血管が細いため、大腿骨の骨髄に針を入れて、
そこから血液を送ります。マニアック治療です。

カメさんも

動物
03 /16 2010
意外と知られていませんが、
脱皮するのです。
水に住むミドリガメの仲間ですが。
リクガメは脱皮をしません。

カメの甲羅は、2層式で内面は骨でできており、
表面に模様のついた角質の鱗が覆っています。
脱皮はこの鱗が成長に伴って剥がれるのです。

dappi1.jpg
dappi2.jpg

コピー♪

動物
03 /14 2010
ゴメンナサイ、クモが嫌いな方は見ないでください。

諸外国では比較的メジャーなペット、タランチュラ。
(海外ではクモ専門の医学書があるほどなのです!!)

見た目はでっかいクモでとても怖いのですが、
意外とシャイ。
私がこの動物に魅かれたのはある出来事からでした。

行きつけのペットショップに顔を出すと、
ビンの中に1匹の大きなクモ。
店長が、1匹どお?と勧められ、
それほど高いものでもないので勧められるままに購入。

とりあえず、買って帰ってきて餌の虫を与えても見向きもしませんでした。
何にも食べない。食べてくれない。触れば動くのですが。
そんな拒食状態が半年間も続きました

そして、ある日水槽をのぞくとひっくり返って
ピクリとも動かなくなっていました。
「ああ、死んじゃった・・・・。」
tara1.jpg

そりゃ半年も餌を食べなけりゃ、
さすがのタランチュラだって死んじゃうよなぁ、
と凹んでいた矢先。

ひっくり返っていたタランチュラですが、
かすかに動いています。。。
じっと観察していると・・・、背中が割れ・・・・
白い牙が見えてきて・・・
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すっぽりともう一匹、
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別の個体が出てきました。
2匹になってしまったのです!!
分裂したのか!
と思いましたが、
これは脱皮作業だったのです。

私はこんなにきれいに脱皮するタランチュラ君の
不思議さ面白さにいたく感心感動した訳です。


ミニュチュアダックスの椎間板ヘルニア

カルテ
03 /12 2010
本来この場は、楽しさを提供したく、
病気の詳細を詳しく述べるべきところではありませんが、
ミニュチュアダックスは人気犬種で飼育増加傾向にあり、
避けては通れませんので、ちょっと、ご紹介です。

椎間板ヘルニアはとても厄介な病気です。
飼い主にとっても、獣医師にとっても。

下半身がふらつく、歩きつらそう、歩けない、
などの症状とダックスという種類、簡単な身体検査で
なんとなくヘルニア、という診断名を付けることは可能です。

しかし、それが本当にヘルニアを起こしていて、
数ある背骨の中でどこが原因なのか特定するのは結構面倒です。

一般的なレントゲンでは、椎間板は映らないからです。
背骨の中に造影剤を入れたり、CTやMRIを撮らないと
病気の状態を正確に把握することが出来ません。
実際、MRIクラスになると、東京にはごく少数の専門施設がありますが、
地方ではMRIの撮影自体困難になります。

hemi5.jpg
背骨を縦切りにしたMRI画像です。
(胸の13番目の背骨(T13)と腰の1番目の骨(L1)の間の椎間板が飛び出しています)

治療には、
内科的治療(お薬)によるものと外科的治療(手術)によるものの2つがあります。
2つにひとつという簡単な選択のようですが、

実際には、

1.内科と外科どちらが優れているかはほとんど差はない。
事実、
2.内科治療を選択しても高率に良化する。
しかし、
3、再発を繰り返す子もいる。
たまに、
4.中には外科をしないと治らない子もいる、
でも、
5.外科を行うためには、飛び出した部位の特定が必須条件、
おまけに、
6.外科は発病から手術までの時間がとても重要(早いほうがよい)
もちろん、
7.外科を行ったとしても良くならない子もいる、
あげくに、
8.MRIや外科を行うと費用がかさむ。

これらを見ただけでも
飼い主様がいかに悩み倒し、
診断治療する獣医師にとってもいかにプレッシャーが高い病気だということが分かります。

具体的には
内科は発生部位の特定は必須ではなく、ステロイド剤の投薬と安静を行い経過を見ます。

外科は背骨に窓を開けて、そこから飛び出した椎間板を取り出します。
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背骨を開けるのでうつ伏せの体勢をとります。

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赤の平行線の内側が脊髄。下から脊髄を圧迫している椎間板を掻きだします。

hemi2.jpg
これが激痛やマヒを引き起こす原因の椎間板物質。こんなに小さいものです。

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術後はマッサージや水泳、レーザーなどのリハビリを行います。

理想は、内科ですぐに良くなっちゃうのが一番皆にとって幸せということなのですが・・・・。

慌てんぼのバジェットガエル♪

カルテ
03 /09 2010
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バジェットガエルというカエルです。
この二頭身の間抜けな顔をしたキュートなカエルは
水中にふらふらと漂い、眼の前に来た獲物を
このおっきな口で食べてしまいます。

水槽に入っている物も、
餌と間違えて文字通り何でも食べちゃう慌てんぼさん。

そうなると麻酔をかけてお腹の中から取り出さなければなりません。
幸か不幸かこの大きなお口が、
これまた文字通りガマ口お財布よろしく
パカッと開け、そこから取り出すことができるのです。
こんな風に。
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この姿もとっても間抜け。
動物を擬人化して、バカにするのは
本望ではないのですが、
以下の写真を見ていただければ、
ご納得していただけるに違いありません。

バジェットガエルの誤飲特集♪
世界広しとも、こんな画像が見られるのはココだけ!
レントゲン写真→摘出後の連続写真!
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水槽に敷いたおっきな石!


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水槽に敷い綺麗なビー玉6個+砂利少々!


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水温を測定するための水温計!


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baje8.jpg
水を浄化するためのフィルターのスポンジ!

どーです。このラインナップ。
やっぱり間抜けでしょ。



昔話・・・。

未分類
03 /08 2010
その昔のお話です。

私は以前、ロッククライマーでした。
この単語の意味は
「ロック音楽を叫ぶ人」ではなく、
「岩を登る※人」でした。
※業界では攀じる(ヨジル)という。

自宅ではせっせと筋トレをして、
暇を見つけては岩山に精を出していました。
なんでも夢中になる性格の私は、
日本の岩では飽き足りず、
わざわざタイの岩壁まで足を伸ばしたことがあります。

この手に全く関心の無い方には、
岩壁を見ても何とも感じないと思いますが、
クライマーは壁をみると自分が登っている姿を想像し、
わくわくする変な人種です。
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例にもれず、タイの海岸の岩壁を睨みつけ心馳せる私。
岩を読み、登ってやるぞと強い動機づけをします。

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では、いざ行かん!
一応、命綱をつけて、壁との格闘開始!
ヨジリに使う道具は自分の手足と熱いハートのみ!
覆いかぶさるような壁が私に牙を剥こうとしています!

一方、日中のタイの壁は燦々たる太陽を浴び、
鉄板を熱したように熱々になっています。

そして、結果は・・・・・。
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ダウン↓
壁に打ち勝つ以前に、あまりの暑さに日射病になってしまいました↓
勝ち負け以前のお話ですよね。
ま、これもまた今となっては良き想い出です。

誰でも生きていればいろいろな壁があります。
でも壁に対する勝ち負けはどちらでもいいのかな。

自分の中にちゃんと壁があり、
それに向かう気持ちがあれば。
壁の無い心、壁に向かわない人生はツマラナイかも…。
書いているうちに、昔話からそれてしまった…。






ランラン♪

植物
03 /06 2010
pafiope.jpg

ちょっと生々しいカメさんあとには、
可憐なランをお楽しみください。

Paphiopedilumという洋ランの一種です。
東南アジア,中国などに自生し、
原種はワシントン条約で厳しく取引が規制されています。

先月東京ドームで行われた「世界らん展」で
ドイツの業者から買ってきました。この独特の色彩と花弁に魅かれました。
ラテン語で「女神のサンダル」という意味、英名もレディースリッパだそう。

下側の花弁は壺状になっていてウツボカヅラなどの
食虫植物のようですが、実際は、ハチなどが蜜を求めて中に入り、
その花粉を有効に虫の身体に付着させるためのものだそうです。

世の中にはまだまだ知らない面白い動植物がありますね。








ダイビングカメさん

カルテ
03 /02 2010
カメは基本的に水平方向もしくは
水中を移動するために進化している動物ですので、
人間のもとで飼育されるとその
状況は幾分か変わってきます。

たとえば、ベランダでカメさんを飼っていて、
水槽から逃げ出し、カメさんはいつものように
水平移動したのち、ベランダの手すりをくぐってしまった場合、
そこにあるのは、空中散歩です。
気付いたころには、地面へ真っ逆さま。
カメさんは落ちているとも気付かずに。

そして、待っているのは、
骨折です。そう、甲羅が割れてしまうのです。
年間に数例はこのダイビングカメさんが来院します。
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どうでしょう。内臓が露出するほどの大ケガです。
危機的状況。カメさんエマージェンシーです。
適切な処置を迅速に遂行しなければなりません。

酸素吸入を行い、抗ショック剤、抗背物質の全身投与など行えることを駆使します。
割れた甲羅には滅菌ガーゼを施し、サランラップを巻いて乾燥から臓器を守ります。
緊急状態から脱するまでは、水の中に入れられませんので、
点滴で水分を補います。
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状態が安定したら、特殊な樹脂で甲羅をつなぎ合わせ水が入らないようにします。
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なんとか山を越え、水中生活を送ることができました。
救急救命は時間と適切な処置が重要でこれはカメさんも同じことです。
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田向健一

動物病院の院長をやっています。
ペットの病気のことならたいていのことはこなしています。
カメやウサギからピットブルまで、外科も内科、眼科も歯科も行います。
動物、植物を含め、命あるものが大好きです。