口の中の腫瘍

カルテ
10 /19 2016
朝一番に、先生!
うちの子、口から大きなものが飛び出て、
出血がすごいんです!というミニチュアダックスが来ました。

実際診察してみると、おっきな塊が口から露出しており、
そこから、血液が滴っておりました。
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高齢ですが、ほっとくわけにはいかないので(出血多量で死んでしまう)、
麻酔下での摘出しないといけない状況でした。
(この時点できちんと摘出できるかどうかの判断はついていませんでしたが、
 やるしかない状態と言うものがある、ということでご了承ください)

電気メス、レーザーメスなどを駆使して摘出に臨みましたが、
出血が多く、組織も大きくらちがあかないので、(時間がかかりすぎる)
指を使って剥離&鉗子で止血で時間短縮。

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と先の見えない前進を続け、無事摘出&縫合完了。

『為せば成る、為さねば成らぬ何事も』を思い出しました。


一石二鳥??

カルテ
04 /05 2016
某月某日

グリーンイグアナ来院。と言っても、普通のグリーンイグアナではありません。
じゃん!グリーンと言いつつ白色なのです。ホワイトイグアナ。
いわゆるアルビノ種と言われ、何万匹に1匹と言うとても貴重なイグアナです。
神々しさすら感じさせてくれます。
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で、お腹が張って、何やら、お腹の中に入っている様子。
触診、レントゲンでどうやら結石が入っている様子。
しかも、エコー検査では、未発達な卵、すなわち卵胞も溜まっている(うっ滞している)様子が観察されました。
つきましては、「膀胱結石摘出」&「うっ滞卵胞摘出」のダブル外科が必要となりました・・・

全身麻酔をかけての開腹術です。
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はい、出ました。膀胱結石。膀胱はとても薄いので、極細糸で切った部分を縫い合わせました。

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引き続き、発達した卵胞を糸を使わないで、
シーリングシステムという機械を使って血管をシールして摘出します。

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ということで、手術終了後の記念撮影。
結石やら、卵やらこの小さな体にたくさん、不必要なものが入っていました。

数日後、すっきりしたのか元気になって退院しましたとさ・・・
ま、本ブログの古くからの読者の方はもう驚かないですね(笑)

麻酔

カルテ
03 /10 2016
町の内科や耳鼻科で患者さんを全身麻酔をかけることは
ほとんど無いかと思います。

動物のクリニックである町の動物病院では、
動物に日常的に全身麻酔をかけます。
当院で言えば、1年間に約700件近く多種多様な動物の全身麻酔をかけます。

ちっさな動物で言えば、このハムスターさん。体重わずか22グラム。
お腹に出来た腫瘍を摘出するために全身麻酔をかけて外科手術を行いました。
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おっきな動物では、グレートデン。体重70キロ。
健康診断の一環として、暴れてしまうと何もできない為、
レントゲン、エコー検査などを行うために、鎮静をしています。(動物園みたいですね)
男3人がかりで対応します。
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麻酔をかける際に、そのリスクとして
「小さいものは麻酔に弱い」「高齢は麻酔に弱い」ということ「のみ」に捉われ、
頭から離れず、麻酔を躊躇する飼い主さんがいらっしゃいますが、
厳密にいうとそれは違います。

麻酔のリスクを考える場合には、「大きさ」や「年齢」だけではなく、
腎臓の機能、心肺の機能、体の栄養状態、水和状態(脱水の有無)、
肝臓、食欲の有無などなど、さまざまなファクターを加味してリスクを
考えなければなりません。

助けるために、体内で起きている状況を把握するために、
やむを得ず行うのが麻酔という行為です。
当たり前ですが、麻酔をかけずにできることならかける必要はないです。

こう書くと、麻酔や外科が好きだと思われかねないですが、
そうでは全くありません。
麻酔を過剰に恐れる余り、適切な治療が行えない、
ほんとは助けられるものが助けられない、
ということのほうが動物にとっても、
飼い主さんにとっても、我々にとっても
大きなダメージになると思うのです。

しかし、100%安全な麻酔はこの世に存在しません。
飛行機に乗って、遠くにいくのと同じです。
なかなか難しい問題で、答えはなかなか出ないですね・・・





くまちゃん

カルテ
12 /20 2015
『くまちゃん』というと、作家 角田光代 の小説をふと思い出しますが、
今回はミックス犬のお話です。

くまちゃんは、小さなときから当院に通っていました。
ほとんど病気らしい病気もしたことがなく、
ペットホテルと予防でこられるくらいの元気なワンちゃんでした。

あるとき、触診をした時、くまちゃんのお腹の中に
なにか触った気がしました。
エコー検査をすると、そこには巨大な出来物の影が映し出されました。

そこで、私はその事情をお話し、悩まれた末、飼い主さんは手術を選びました。
しかし、肝臓が腫瘍化し、場所によっては摘出不可能になるとも説明しました。

で、手術。
開けてみると・・・・
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視野全体に、それはそれは醜いガンの塊が広がっていました。
肝臓でした。一瞬にして絶望的な気持ちになりました。

そうは言っても、すぐに諦めるわけにもいきません。
先ずは、相手の全容を見なければなりません。表に全て出すことが出来ないので、
腹腔に手を入れて、手の感覚で腫瘍の形をイメージをしていきます。


進めるかどうか、逡巡しました。
10分ほど腫瘍を撫でまわましていると、
弱点が見えてきました。
深部で切開可能らしいラインが見えてきました。
手を動かし、進めることにしました。
しかし、肝臓ガン、大出血するリスクがあるので慎重に進めました。

仔犬のときから見ているくまちゃんを自分の手で、もしかして殺してしまうかと思うと、
情けないことに心臓は聞こえるくらいにバクバクし、ワナワナと手に震がきました。
こんなこと、記憶にない位です。
それくらい、緊張していたんだと思います。

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しかし、出血もそれなりにありましたが、格闘の末、
無事、巨大なガンは肝臓の一部を切り取ることで、無事、摘出できました。

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そしてくまちゃんは、なんとか回復しお家に帰ることができました。

そして今日、さらに元気になって、再診のために来院しました。
私にとってのクリスマスプレゼントでした!



白蛇の腎臓腫瘍

カルテ
08 /14 2015
某月某日

飼い主さん「せんせ、うちのヘビ、一部が膨れて、ウンチも出ず、食欲もありません」

わたし「どれどれ」

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「おっと、白蛇君だね。白蛇は縁起がいいっていいますね♪」

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「ここですね、確かにぽこっと膨れていますね。これが邪魔をして、腸を圧迫しているかもしれませんね。
 真の原因はわかりませんが、そのままだと、きっと死んでしまうと思います。外科的な対応も考えますか?」

飼い主さん「そうですね、ずっと飼ってますし、このまま見殺しにするくらいなら、
        やれることをやってもらいたいのですが。」

わたし「わかりました。ただ、私の少ない経験から、この部位に出来た腫瘍の摘出は
     分が悪いです。大体7割くらいの子が術後に死んでしまうことが多いです。」

飼い主さん「リスクはわかりました。宜しくお願いします。」

というわけで、確率は普通の手術と比べてかなり低いですが、腹を決めて実施することにしました。

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静脈から麻酔薬を注入し、気管にチューブを入れ、
人工呼吸器をセットして手術しました。

腫瘍は、腎臓の一部に癒着しているような形で、
術中、出血もしましたが、なんとか摘出できました。

しかし、術後の麻酔の醒めがとても悪く、
とても心配しましたが、数日かけて、
だんだんと回復してきて(通常、犬猫だと数時間のところ)、
なんとか無事退院までこぎつけました。

大学の病理学研究室に腫瘍を送付し、
腎臓の腫瘍ということがわかりました。
しかし、症例数がきわめて少なく、
病態が不明でさらなる検索を続けているそうです。

いずれにしても、ヘビなんて、と思わず、
ちゃんと愛情をもって病院へ連れてきていただき、
英断をされた飼い主さんのおかげで、いまはウンチも出て食欲も戻ったそうです。
よかったです。ほんとに。(こういうケースを奇跡と呼ぶのだと思います、私的に)


というわけで、
「お盆休みは、どうですか?」というお問い合わせを連日たくさん受けておりますが、
お盆休みもなく、夏バテもなく通常通り診療しております。